鎌倉時代 藤原定家


 

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くりかへし春のいとゆふいくよへて同じみどりの空に見ゆらん

    

訳:春の楊炎は、繰返しどれほど永い年にわたって変わらぬ碧空に現れることだろう。

 

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夕暮はいづれの雲のなごりとて花橘に風の吹くらむ

    

訳:夕暮れ時なると、庭の花橘に風が吹き、しきりと昔の偲ばせる(しのばせる)
      一体如何なる雲のなごりを運んで来たというので、これほど昔を懐かしませる香りがある。

 

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消えわびぬうつろふ人の秋の色に身をこがらしの森の下露

    

訳:あなたの心は移ろい私に飽きてしまった。私ひとり身を焦がして苦しんでいます。
      秋の木枯らしの森の下露のように貴方に顧みられず、いまにも消えてしまいそうです。

 

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明けぬといでつる人のあともなしただ時のまにつもる雪

    

訳:「夜が明けたから」といって、その人は帰って行った。
      その足跡も、もう跡形もなくただ真っ白な雪が全ても包み降り続けている。

 


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