平安時代 小野小町


 

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花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

    

訳:花の色は褪せてしまったなあ。我が身を徒(いたづら)にこの世に置き、むなしく時を経る

                 ――春の長雨が降り続ける中、物思いに耽っていた、その間に。

 

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卯の花のさける垣根に時ならでわがごとぞなく鶯の声

    

訳:春が去った後、卯の花の咲く垣根に、鶯の声。
      私と同様、時に置き去りにされたかのように、悲しげに鳴いている。

 

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吹きむすぶ風は昔の秋ながらありしにもあらぬ袖の露かな

    

訳:風は昔の秋と変らぬ風情で吹き、野の草に露を結んでいるが、
      我が袖に置く露といえば、かつてとはまるで違っているよ

 

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今はとてわが身時雨にふりぬれば言の葉さへにうつろひにけり

    

訳:今はもう、時雨が降ると色が変わる樹々のように、我が身も涙に濡れて古びてしまったので、
      あなたが以前約束して下さった言の葉さえも変わってしまったのです。

 


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